男子專科 1986年8月号 NO.269 より
第三のカジュアルストリート・フォーマル-4
ジャカード柄を上手に着こなしてみる
ベース・カラーはブラック、グレー。アクセント・カラーにパステル調のパープル、グリーン、ブルーを使うカラー・コーディネーションが、このテーマを成功に導びくことも、しっかり覚えておいていただきたい。
フォーマルから、キチンとした固苦しさを取り除き、あの一種独特の、はなやいだおしゃれ感をそっくりいただいて、カジュアルにしてしまうことの新鮮さ!
そこには、リッチで、大人っぽい、品のあるカジュアル・ファッションが、キラキラと輝いているのですね。
考えてみればそれらは従来、特に日本においては、まったくカジュアルの要素とはみなされなかったものばかり、世の中、確実にそして着々と、新しくなっているのである。
なかでもファッションとテレビゲームは、いちばんはなぱなしく、進化していると言えそうだ。そのどちらもが、旧型にとって何よりも苦手であることは、実にもう明白な事実でありましょう。
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6月の東京を歩いていると、あちこちの本屋の店頭に、カラフルな旅行雑誌がグーンと急増していることに気付く。ああ、もうサマー・バケーションの準備だなア、と思いつつ、それらを順に見ていくと、大半が海外旅行を扱ったものである。青い青い海と空、くい込みカットの美女。
その図々しいほどのポーズと笑顔に押しのけられ、すみっこでひっそりと隠れている、東京から2泊で行ける家族旅行ガイド、なんかをそっと引っぱり出している男は、やっぱり旧型なのかもしれない。
でもまあ、せめておしゃれはしようよ。などとほんのり抒情的な気分になって、夕刻のストリートを歩くには、このストリート・フォーマルの粋な大人っぽさが、うってつけなのであります。
・・・了