戦前の日本の男たちはおしゃれの基本を英国紳士に倣ったものだったが、戦後はアメリカへのあこがれに一変してしまう。日本に進駐してきたアメリカの兵隊たちに、アメリカ文化の豊かさを思い知らされるようになったからだ。アクセサリーの類にもそうしたことの影響が強くあらわれ、いかにもアメリカ好みといった派手な色柄のものに人気が集まった。それは今では考えられないほど、明るく自由な感覚に満ちたものばかりであった。
50〜60年代に流行したアクセサリー・スタイル:新しい紳士靴
51年8月号掲載の新しい紳士靴3種。右はブルーのボックスとスエードによるコンビネーションシューズで、現在にあってもこうした色と素材は珍しい。左のふたつも実に機能的なデザインで、履きやすそうなイメージ。