日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

スウィングトップ

海外でまったく通用しないファッション用語:スウィングトップ

スウィングトップ
swingtop

正しくは
【ドリズラー・ジャケット】
drizzler jacket

俗にゴルフ・ジャンパーとして知られる前ジッパー型の軽快なジャンパー。原型はアメリカ、マクレガー社の「ドリズラー・ゴルファー」という雨天用のジャケットにあり、このことからアメリカでは一般にドリズラー・ジャケットと呼ばれる。また、これの本格派としてイギリス、バラクータ社のG|9というモデルがあり、イギリスではバラクータといえばこの種のジャンパーのこと。日本では1960年代からスウィングトップを使用。

スウィングトップ。これも疑いなくVANヂャケット1960年代の商品名からきている。おそらく、ゴルフのスウィングとトップス(上半身に着るものの総称)のかけあわせから生まれたのだろう。アメリカでは一般にドリズラー・ジャケットというが、ドリズルとは「細雨・こぬか雨」ということ。アメリカの有名なスポーツウエア・メーカー、マクレガー社が小雨対策用のゴルフ・ウエアとして、1952年に開発したナイロン製のジャンパー「ドリズラー・ゴルファー」に端を発している。ちなみに、これの正式名称は「スコッティッシュ・ドリズラー・マイティ・マック」という。これのさらに原型とされるのが、イギリスはマンチェスターに本拠を置くレインウエア・メーカー、バラクータ社のG-9モデルと呼ばれるゴルフ・ジャンパーで、これは1947年から製造されて いる。少々の雨に降られても大丈夫なように、深く取られたアンブレラ・カットと呼ばれる背中のヨークとゆとりあるラグラン袖、そまっ赤なタータンチェックの裏地がG-9モデルの特徴。日本では60年代の初め頃まではゴルフ・ジャンパーと呼ばれたが、VANヂャケットの命名以来、スウィングトップという名称が定着し、本物の英語のようになってしまった。