現代のファッションだったら、おそらく<ジャケット&パンツ>と呼ぶことだろうが、1950年代当時はもっぱら<替え上着と替えズボン>の時代であった。まさしく替え上着というにふさわしいツイードや大格柄のスポーツジャケットにフラノやギャバジンのスラックスの組合わせ。そんなカジュアルなスタイルであるにも関わらず、当時の男たちはどこへ行くのにもネクタイを手放さず、Vゾーンの構成に一生懸命凝ったものだった。

50〜60年代に流行したジャケット・スタイル:グレーフラノのブレザーコート

50〜60年代に流行したジャケット・スタイル:グレーフラノのブレザーコート

1956年9月号に紹介されたシングルブレザー。3パッチポケットでエンブレム付きの本格的なブレザーだが、当時はまだブレザーコートと呼ぶのが一般的だった。胸のマークを取れば、立派に街着としても通用するとある。