現代のファッションだったら、おそらく<ジャケット&パンツ>と呼ぶことだろうが、1950年代当時はもっぱら<替え上着と替えズボン>の時代であった。まさしく替え上着というにふさわしいツイードや大格柄のスポーツジャケットにフラノやギャバジンのスラックスの組合わせ。そんなカジュアルなスタイルであるにも関わらず、当時の男たちはどこへ行くのにもネクタイを手放さず、Vゾーンの構成に一生懸命凝ったものだった。

50~60年代に流行したジャケット・スタイル:ファンシーベストの台頭

50~60年代に流行したジャケット・スタイル:ファンシーベストの台頭

今、イギリス、フランス、アメリカを問わず、男子服の最先端をゆく流行は、この「変わりチョッキ」にある、という。変わりチョッキ、すなわち今でいうファンシーベストのことで、51年春にはこんな変わり型も見られた。