男子專科 1986年3月号 NO.264:春のニュー・ワードはコンプレックス・コーディネート

男子專科 1986年3月号 NO.264 より

春のニュー・ワードはコンプレックス・コーディネート(1)

ファッションは”MY TASTE時代"である。自分で感じ、自分で考え、自分で工夫する。それなのに、ショップのコーディネーターやスタイリストのアドバイス通りおしゃれするのは、ファッション・モルモットです。これでは困ってしまう。DANSEN読者には、こんなモルモットはきっといないはずだが・・・・・・。

それと、ブランド・モデルもいやだネ。どっから見ても、すぐ分かるブランド・トータル・ルックスは、ぜーんぜんいただけない。デザイナー・ブランドを着ても、完全に自分のスタイルをつくり上げてほしい。そんなスタイルづくりをたのしんでこそ、ファッション人間の資格ありだ。

むしろ、マルチ・ブランド・スタイルのほうがたのしい。シャツ・ブランド、パンツ・ブランド、ジャケット・ブランドと、各々自分の大好きなアイテム・ブランドの、複合コーディネートこそ、おすすめだ。

各アイテムごとに、これだげは業界ナンバー・ワンってものがある。それを見つけてステキなマルチ・ブランド・スタイルを試してほしい。マイ・テイスト、マイ・ファッションを、しっかり自分の胸につくってください。

さて、春のファッション情報はもう十分だろうか。

ぺーズリーやドット(水玉)、そしてクラシック柄が、プリントやジャカード織りなどで、たくさんショップに揃ってくるはずだ。つまり、ノスタルジック・トレンドが中心になるでしょう。というのが私の予想。でも、そのノスタルジーなデザインを、いままでの着こなしスタイルにしてはダメ。それでは単に昔帰りでしかない。要するに過去指向ですネ。

では、ノスタルジックな古い柄を、どうしたらファッション的に着こなせるか。その質問に対する答えが、今月のアイデアである。ファッションのキー・ポイントを提供しようというわけなのだ。

それがこの「コンプレックス・コーディネート」。ファッション・ニュー・ワードとしても、ぜひ覚えておいてほしい。その意味するところは、複合コーディネート、ということになる。柄と柄との複雑なマッチングが、ノスタルジック・パターンを、ファッション的に着こなす(秘)テクニックなのだ。

ただし大切なことは、単に一時流行したミス・マッチといっしょにしないこと。

ミス・マッチは、コーディネートしそうにないアイテムや色柄による、意外性のマッチングだが、コンプレックス・コーディネートは、それをもう一歩センス・アップしたおしゃれテクニックなのだ。

その違いは、卜ーン・オン・トーンがカギになる。つまり同系色の濃淡や、ハード&ソフト、そして同系柄の小・中・大の、リズムのあるマッチング。このふたつのテクニックがミックスすると、最高にファッショナブルとなるのですね。

・・・次回更新に続く