服装の流行は、まず「モード」として現われる。ここでいうモードとは「最新型」という意味で、デザイナーによる「創作」などがここに含まれる。これが流行に敏感な人たちの支持を得て拡大すると、「ファッション」と呼ばれるようになるのだ。ここでのファッションとはまさしく「流行」の意味。そして、ファッションがさらに普及し、大衆の間で定着を見るようになると、これは「スタイル」という言葉に置き換わる。スタイルとは、すなわち「定型」とか「様式」の意味。これを「流行の三角構造」などと呼んでおり、ファッション界では常識的な考え方となっているのだが、実際にはモード、ファッション、スタイルの使い分けはこれほど明確には行われてはいない。近ごろの流行を見ていると、モードとして生まれてはみたけれど、ファッションになるまでに消滅してしまう例が驚くほど多いことに気づく。これを「ファド」とか「クレイズ」と呼ぶことも覚えておきたい。
とにもかくにも80年代はDCブランドの時代であった
「DCブランド」1983~1987
デザイナー&キャラクター・ブランドを総称して」DCブランド」と呼ぶようになったのは、1983(昭和58)年ころからのこと。それまでに誕生して人気のあったビギやニコル、ワイズ、コム デ ギャルソンといったデザイナー系のブランドに、ビバユー、コムサデモード、アトリエサブといったキャラクター系のブランドが加わって、DCブランドという新しい分野が生まれたのだ。いずれのブランドも「感性」という80年代を象徴するキーワードを武器に、直営店やFC(フランチャイズチェーン)店を展開して、ここまでの日本には見られなかった新しいファッションの世界を切り開いた。ハウスマヌカンとかショップギャルソンなどと呼ばれるスタイリスト機能を持つ販売員が、こうしたDCショップに登場したのも新しい動きとされた。やがてメンズや子供服まで巻き込んで、DCブランドは空前のブームを迎える。とにもかくにも80年代はDCブランドの時代であったといえるのだ。