日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

ルーズソックス

海外でまったく通用しないファッション用語:ルーズソックス

ルーズソックス(ルーソク)
loose socks

正しくは
【ロング・スラウチ・ソックス】
long slouchy socks

ぶかっとしたルーズな形を特徴としたロング・ソックス。とくに女子中高生が着用するバルキーな綿糸で編まれた白のそれをさすことが多く、足首のところでたるませてはくのも大きな特徴となっている。こうしたソックスはアメリカでは1980年代ころから存在したが、とくに話題を集めるようになったのは1990年代、日本の女子高生たちに制服の一部としてはかれるようになってからのこと。いろいろな呼称があるが、アメリカではロング・スラウチ・ソックスなどと呼ばれる。

ルーズソックス、いまではルーソクなどとコギャル用語で呼ばれることも多いこの「ゆるゆる靴下」のルーツは、意外なところにある。それは1982年秋冬から1983年春夏にかけて急激に台頭した、「ボロ・ルック」と呼ばれる破壊的なファッションのアクセサリーのひとつとして生まれたといわれるのだ。別に1980年代、ニューヨークのキャリアウーマンたちが、エアロビクスなどのスポーツ用ソックスを、通勤用にスニーカーに合わせてはきはじめたのが最初という説もある。しかし、いま我々が目にするルーズソックスは、やはりアメリカの「E.G.スミス」ブランドを元祖とするものであろう。1992年ころから東京・渋谷にあらわれたコギャルたちによって、ルーズソックスはたちまちのうちに市民権を得、1996年には全国的に大ブームを巻き起こしたのだ。いまではルーズソックスをはいた外国の女子高生のテレビCMまで登場する始末となっているが、英語でルーズソックスは通じない。ここは「だらしない」の意味のスラウチを使って、ロング・スラウチ・ソックスというのがいちばんだろうが、単にスラウチ・ソックスでもOK。