スーツのスタイルは1950年(昭和25)年を機に、それまでのやたらと男性らしさを誇張するボールドルックから、自然体であることを強調するナチュラル。ルックへと変化を見せるようになる。それは戦後の混乱がようやく終わりを告げ新しい男のファッションの時代が訪れようとしていることを物語っているかのようだった。そして、その年8月、一般の人たちを対象とした日本で初めての男性ファション誌『男子専科』が誕生した。
50〜60年代に流行したスーツ・スタイル:人気の薄茶色のスーツ
1950年秋号掲載に「今流行の薄茶色の服」とある。ボールドルック気味のダブルスーツだが、この色のいちばんむずかしいと説明されている。とくにズボンとワイシャツの色の選択が至難というが、いつの時代も着こなしには苦労した。薄茶色の服には一見飛び離れた色のものを選ぶと、かえって成功することがあるとの解説がある。多くの色を使ってしまうとチンドン屋のようになってしまうというのも面白いが、各色を同じ明るさにすることによって解決。