男子專科 2014 AUTUMN vol.2 より

男子專科 2014 AUTUMN vol.2

サヴィル・ロウに妖精の粉をふりかけたスウィンギン60’Sのピーターパン(18)

トミー・ナッターが遺したもの

さてここで、生前のトミー・ナッターを知る人物をもうひとり紹介しておこう。彼の名はデヴィット・J ・メイソン。デヴィットは長年休眠状態のままクロンビー社が所有していたトミー・ナッターの商標権などを譲り受け、かってリンゴ・スターや、その後にジョン・レノンも暮らしていたモンタギュー・スクエア34番地のレジデンスをスタジオにしている。先に記述した王立郵便局の記念切手に使用するため、リンゴ・スターのスーツを復刻させたのも彼の仕掛け。デヴィットは昔のコネクションを駆使して、かってトミー・ナッターの店で働いていたテーラー、ピーター・マノーリに依頼してこのレプリカを製作したのだという。

デヴィットとトミー・ナッターの出会いは、とてもファンタスティックだ。英国のTV番組に、子供の夢をかなえる、というプログラムがあった。デヴィットは14歳のときに、「サヴィル・ロウでスーツを作りたい」という応募をした。するとその案が採用され、収録スタジオに登場したのは、なんとあのトミー・ナッターだったというわけだ。

・・・次回更新に続く