現代のファッションだったら、おそらく<ジャケット&パンツ>と呼ぶことだろうが、1950年代当時はもっぱら<替え上着と替えズボン>の時代であった。まさしく替え上着というにふさわしいツイードや大格柄のスポーツジャケットにフラノやギャバジンのスラックスの組合わせ。そんなカジュアルなスタイルであるにも関わらず、当時の男たちはどこへ行くのにもネクタイを手放さず、Vゾーンの構成に一生懸命凝ったものだった。

50〜60年代に流行したジャケット・スタイル:変わりチョッキを着るのが流行

50〜60年代に流行したジャケット・スタイル:変わりチョッキを着るのが流行

アメリ力生まれのナチュラルルックがだいぶ浸透してきた1952年春、変わりチョッキを取り入れるファッションが流行している。これによって襟元の開きが深くなったVゾーンを、ぐっと引き締めようというわけだ。