男と女の服飾ファッション変遷史:1980年代
80年代はまさしくリッチ・ジャパン、バブルの時代。おそらく日本人の誰もが世の景気に浮かれまくっていたのではないだろうか。なかでも、とくに元気のよかったのが若い女のコとファッション・デザイナーで、キャリアウーマン= 自立する強い女と「おやじギャル」のブームを作り出した。ファッション・デザイナーでは川久保玲( コム デ ギャルソン) と山本耀司(ワイズ) のパリ・コレクション進出(1981・10) が特記され、ここから本格的な日本人デザイナーのブームがはじまった。TD6という東京のデザイナー団体による「東京コレクション」も1981年(昭和56) にスタートし、一旦中断したものの1985年(昭和60) から本格化し、パリ・コレやミラノ・コレ、あるいはN・Yコレクションに匹敵する世界のトレンド発信地としての陣容を整えてゆく。こうしたデザイナー・ブームを背景に生まれたのがDCブランドの大流行で、これはD = デザイナー・ブランドと、C=キャラクター・ブランドの総体をあらわす。丸井やパルコ、ラフォーレ原宿といった大型店に直営ショップを構え、続々とパリ・コレなどに進出し、現在のSPA ( ブランド直売大型店) 型ビジネスの基礎を作り上げたのである。一歩遅れをとったものの、メンズ・ファッションのDCブームもはじまり、1987年(昭和62) の「メンズ・ノンノ」の創刊をもって、それはピークに達する。ソフト・スーツやプレッピー・ブームなど、それらはまさに60年代に次ぐ第二のメンズ・ファッション革命であったといってもよい。そして、インポート・ブランド・ブーム、ボディコン・ファッションと流行は変化してゆくが、日本人がファッションにいちばん自信を持った時代、それが1980年代というディケード(10年間) をあらわしているのではないだろうか。