男子專科 1986年4月号 NO.265

男子專科 1986年4月号 NO.265 より

夜のエレガンスに注目してリゾート・ナイトを着こなす-2

僕は店内の商品を次々とかたづけながら、集まってくるはずの、仲間たちの服装を頭に描いて楽しんでいる。しかも、ひとりひとりの顔を思い浮かべて、その服装につなぎ合わせてみる。

ブルー・デニムのタイト・パンツに白のセーター。そしてシンプルでビッグな白のシャツ。単に白ではなく、シルクのようなツヤのある素材が、リラックスしたカジュアルの中にも、ナイト・ドレッシングのテイストを演出している。ソフトなドレープ・シルエットのシャツは、グレーかオフ・ホワイトがいい。シルクに見えるポリエスターや、アセテートなども使える。無造作に着るのがニクイのである。

また、ヨーロピアン・テイストの好きな仲間は、ブラック・カラーの、テカテカに光った軽い素材を使ったバギー・パンツを、はいてくるだろう。ウエストはゴムのシャーリングしたもので、タップりとしたシルエットのパンツに、グレーや白のペーズリー柄のビッグ・シャツ。やはりシルキー・タッチのツヤがいい。ニットや薄い織物のビッグ・スカーフを、ショールのように使うと、より「リゾート・ナイト」のイメージだ。

15人の仲間をひとりひとり紹介するには紙数が足りないのが残念だが、こんなリゾート・ナイト・スタイルが、いまファッションの眼なのだ。昼間のストリート・ファッションとしても、トップ・スタイルとして期待されている。

カジェアル・ファッションが、これまで昼間の週末のライフ・スタイルを中心にデザインされたのに対して、今年は、夜のエレガントが、カジュアルのポイントになっている。

大人っぽく、そしで古い柄や高級な素材をリラックスして着ることだ。ペーズリー、ドット、複雑な古い小柄のデザインを、シルクのように高級で品のある素材の上に描き、動いたときの美しいドレープを楽しむことだ。さらに、シャツ・オン・シャツの楽しさをこれに加えれば言うことはない。

でも、着ることだけで満足しないで欲しいのです。楽しむ場所と時間をつくり出すこと。これこそがファッションなのだから。

ショップもきれいにかたづいた。いままで気づかなかったが、小さい窓から見える海は、すでに美しい夕方の色に染まっている。

さて、コーヒーでも飲みながら、仲間たちのやってくるのを、待つことにしよう。

・・・了