「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?
ルイ・ヴィトンのモノグラムは日本の家紋がヒントになった
LとVの文字の組み合わせと百合の花とかをデザイン化したといわれる「ルイ・ヴィトン」のモノグラムは、もはや日本人の誰もがご存じのことだろう。これが考案されて特許をとったのは1896年のこと。2代目社長ジョルジュ・ヴィトンの苦心の結果生まれたものである。ルイ・ヴィトン社は1854年に創設され、優れた旅行用トランクで名声を得るようになっていったが、偽物の横行にも悩まされていた。その対策として「ダミエ」と呼ばれる市松格子の模様を付けたものの、これもすぐさま真似される始末。業を煮やしたジョルジュ・ヴィトンが、絶対真似されないようなデザインにしようということで考え出されたのが、あのモノグラムであったのだ。当時はちょうどアールヌーヴォー(世紀末美術様式)の全盛期で、日本の美術もジャポニスム(日本趣味)としてフランスで大変な注目を浴びていた。そんな日本の家紋の形があのルイ・ヴィトンのモノグラムに取り入れられて完成を見たといわれているのだが、そういわれてみればなるほどそんな気がしなくもない。