ステキなショック ビスコス&レーヨン・ドレープ:男子專科 1986年6月号 NO.267 より

男子專科 1986年6月号 NO.267 より

ステキなショック ビスコス&レーヨン・ドレープ-1

サマー・ファッションといえば、コットンやリネンが、まずイメージに浮かんでくる。シワ加工をした洗いざらしのコットン・シャツやパンツは、もう誰にとっても欠くことのできない、サマー・ワードローブなのである。同様に、ちょっとシワっぽくヨレた麻のジャケットの美しさも、すでにポピュラーなものになってしまった。

「ランプル・シック」なんて言葉も、4年ほど前に、私がダンセンのこのページに発表したのを想い出す。そのころから、コットンやリネンのシワの味わいは、おしゃれな人々に注目されるテーマになってきた。いま、シワの着こなしは、ひとつの頂点に達したように思うのです。

さて、そんなサマー・ワードローブにニュー・トレンドが出現した。それは、ちょっとしたショック---少なくとも、コットン&リネンの夏にどっぷり浸っていた人々にとっては、ショックであったに違いない。すなわち、ビスコス&レーヨン・ショックで、あります。

ビスコス&レーヨンの持ち味は、コットン&リネンの持ち味とは、まったく趣きを異にしている。たとえば、ダランとしたコシのない材質。これをソフト・ドレープと呼ぶ。そして表面のツヤ。これはシルキー・ルックと呼びたい。

ソフト・ドレープ&シルキー・ルックを着こなす。このふたつは、従来のコットン&リネンのサマー・ワードローブにはなかった要素である。

さらに、この素材は発色性が実に美しいという特質がある。当然、はなやかなプリント柄で、にぎわうことになるだろう。シワの着こなしが、どちらかといえば無地をベースにしていたことと、このあたりも違っているのですね。

アイロンやノリで、美しい線をつけることなど不要。しかもシワのない質感を着こなす光沢を持った柔らかなドレープ。それがビスコス&レーヨンなのであります。

・・・次回更新に続く