男子專科 1986年1月号 NO.262:おしゃれ上手はレッグ・アップがポイントです

男子專科 1986年1月号 NO.262 より

おしゃれ上手はレッグ・アップがポイントです-1

山歩きとかオリエンテーリングなら、健康にはいいかもしれないが、ちょっとした気分転換にしては、少々おおげさすぎる。朝食前のひとときとか、ひと仕事終えて夜の外出までの遅い午後とかに、外の空気を吸いがてらのウォーキングとなれば、やはり散歩、それもウインドー・ショッピングが、いちばんいいようだ。

少し歩いては立ち止まり、ガラスの向こう側をのぞきこみ、といった行為をのんびり繰り返すのは、単調なようでいて、その実けっこう好奇心を刺激するし、1時間かそこいらは、アッと言う間に過ぎてしまう。まったくこれほど幸福な気分を与えてくれる時間つぶしは、他にないのではないか。ウインドー・ショッピングするなら、原宿や麻布あたりがいいようだが、これはその人の好みや、地の利にもよる。

疲れたら一服。ツイードのパンツにフォレスト・グリーン(深い森のような緑)のカシミア・セーター、そしてツイードのハンチング。こんな格好で、陽だまりの椅子に腰掛け、のんびりするのが大好きだ。(年寄りじみていると言われそうだが、そういうことを言う人のほうが、幸福を感じる余裕のない人なのだ。その証拠に、パリやニューヨークでもアップタウンのエリアでは、若者が陽だまりの幸福を分かち合っている)

こんなスタイルのときは、誰でも脚を組みたくなるのが普通というか、自然だ。そんなとき、ちょっとのぞいて見えるソックスに対する気配りが、その人の人柄を強く表現している。そして周囲の人々に、強い印象を与えるものだ。となれば、シューズはなおさら、人を表現し、それを周囲に印象付ける。足元は大切にしなければいけません。

私は数多くのファッション人間と、毎日会っているが、どんなにステキな服を着込んでいようと、どんなに流行の最先端のスタイルをしていようと、その人の足元のおしゃれ、気配りに欠けた足元を見ると、「浅い人間」、「軽い人間」と決めつけてしまうクセがある。いまや「軽チャー」流行の折、そう決めつけられて喜んでいる輩がいたりして、まいってしまうこともあるが・・・・・・。

・・・次回更新に続く