プリンス・チャーミングの新手法
タイタニックが沈没し、第一次世界大戦が勃発。人々はジャズに熱狂し、クルマや飛行機などの新しい移動手段が登場する。
そんな20世紀前半、メンズファッションに新たなアイデアを提供したのは、またも英国のプリンスだった。プリンス・チャーミングことエドワード8世、後のウインザー公は、常に趣味の良い服装とツイストしたアイデアによって、アメリカ人のファッションアイドル的な存在となった。
彼のワードローブを約40年間支えたのは、コーク・ストリート3番地に店を構えるフレデリック・ショルティというマスターテーラーであった。ショルティはメイヤー&モティマーと同じドイツ系のミリタリーテーラー。彼は立ち姿の美しい軍服をソフトコンストラクションに改良して、快適なシビリアンクローズを作ることに成功した。ショルティの生み出したロンドンカットは、その後アンダーソン&シェパードに影響を与えたといわれている。
バーティは旧世代のスタイルをイノベーションしたが、ウインザー公はすでに完成しつつあったクラシックスタイルを、ブレーキングザ ルールによって快適で風通しの良いものヘと変えていった。それは、現代のデザイナーの手法にとてもよく似ていると感じる。
・・・次回更新に続く