服装の流行は、まず「モード」として現われる。ここでいうモードとは「最新型」という意味で、デザイナーによる「創作」などがここに含まれる。これが流行に敏感な人たちの支持を得て拡大すると、「ファッション」と呼ばれるようになるのだ。ここでのファッションとはまさしく「流行」の意味。そして、ファッションがさらに普及し、大衆の間で定着を見るようになると、これは「スタイル」という言葉に置き換わる。スタイルとは、すなわち「定型」とか「様式」の意味。これを「流行の三角構造」などと呼んでおり、ファッション界では常識的な考え方となっているのだが、実際にはモード、ファッション、スタイルの使い分けはこれほど明確には行われてはいない。近ごろの流行を見ていると、モードとして生まれてはみたけれど、ファッションになるまでに消滅してしまう例が驚くほど多いことに気づく。これを「ファド」とか「クレイズ」と呼ぶことも覚えておきたい。

ザ・ビートルズの来日をきっかけに一挙にブーム化

年代別『流行ファッション』物語:ザ・ビートルズの来日をきっかけに一挙にブーム化

「GSファッション」1967~1968

GS(グループサウンズ)という名で、日本にバンド・ブームが訪れたのは1967(昭和42)年のことだった。エレキギターを中心にした4、5人編成のバンドで、ジャズ喫茶華やかなりし60年代の初期から存在していたものだが、66年のザ・ビートルズの来日をきっかけに一挙にブーム化したのだ。彼らのステージ衣装が「GSファッション」と総称されたのだが、それにはおよそ三つの系統があった。ひとつはおもちゃの兵隊を思わせる「ミリタリー・ルック」で、ザ・スパイダースやザ・ジャガーズが得意とした。ふたつ目は王子様のようなロマンチックなベルエポック・スタイルで、これはザ・タイガースやオックスに代表される。そしてもうひとつは民族調の服やジーンズなどを用いたヒッピー・スタイルといえるもので、ザ・モップスや金のないバンドがもっぱらステージ衣裳としていた。スーツ・スタイルで演奏するブルー・コメッツなどは珍しい存在だったといえるだろう。