サヴィル・ロウ成立以前
1666年に起きたロンドン大 火は単に巨大な火災事件というに留まらず、サヴィル・ロウの誕生にとっても重要な鍵となる出来事だった。
中世に造られたチューダー様式の木造建築(白い漆喰の外壁に黒い柱と梁が露出した建物。リバティ百貨店の外観を想像していただきたい)が焼き尽くされる一方で、新たな建築様式による不動産ブームが起きたのである。
ブームに呼応して第3代バーリントン伯爵リチャード・ボイルは、保有する土地に最新のジョージアン様式とパラディオ様式を折衷したビルディング群を建てた。その一棟に伯爵の結婚相手であるレディ・ドロシー・サヴィルが移り住んできたことにより1733年ここがサヴィル・ストリートと呼ばれるようになったわけである。
ロンドン大火によって道路は整備され、サヴィル・ストリートは繁華街のピカデリーとも繋がる。瀟洒な建物には、かってジョージ2世が愛した美人で聡明なヘンリエッタ・ハワードも引っ越してくる。にわかにこの一帯は上品な街区として脚光を浴びるようになった。
・・・次回更新に続く