サヴィル・ロウに妖精の粉をふりかけたスウィンギン60’Sのピーターパン（14）
元祖、本家、正統、分家が入り乱れる
１９７７年トミー・ナッターは伝説的なスーツをリンゴ・スターのためにデザインしている。それはホーランド・シェリーが特別に生地を提供したもので、たっぷりとツイードが使われたショールカラーのスーツであった。白×黒のプリンス オブ ウェールズ・プレイドとシェーファード・チェックをブレードで切り替えたこのスーツはトミー・ナッターの代表作となった。
２０１２年英国王立郵便局から、戦後の英国ファッションを振り返る記念切手『グレート ブリティッシュ ファッション』が発売された。これは、ハーディ・エイミス、グレニー･テイクス・ア・トリップ（ジョン・ピアース）、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ポール・スミス、アレキサンダー・マックイーン、そしてトミー・ナッターなど、10人のデザイナーやテーラーの作品を切手にしたものだ。トミー・ナッターの服は、もちろんリンゴ・スターのために作ったツイードのブレードスーツが選ばれている。いかにこの作品が画期的であったかが、わかるエピソードだ。
・・・次回更新に続く
