ジーンズ・ファッションの流行に派生した機能的なスタイル:「アーミー・ルック」1973〜1977

ジーンズ・ファッションの流行に派生した機能的なスタイル:「アーミー・ルック」1973〜1977

軍隊の放出品(サープラス)を逆説的な意味で反戦思想のファッションとしたのは、1960年代のヒッピーたちにまで遡るが、1973(昭和48)年ごろから日本でもこうした軍服を着る若者たちが目立つようになった。しかし、それは反戦思想から生まれたものではなく、ジーンズ・ファッションの流行に派生した機能的で実用的な味わいを、中古軍服の中に見い出したからに他ならない。米軍基地近くのサープラス・ショップなどから流れ出たアーミーウエアの数々は、やがてジーンズ・ショップなどにも並ぶようになり、「アーミー・ルック」というファッションを作り出す。とくに人気のあったのは米軍でフィールド・パーカと呼ばれるアーミー・ジャケット。これのフードを取り外し、ワッペンをぺたぺた貼り付けたカーキ色のジャケットがカメラマンたちから広がった。ボトムはブルージーンズを合わせるというのもこのころの流行スタイルで、アーミー・バッグやアーミー・ベルトといった小物類も必須のアクセサリーとなっていた。

ファッション蘊蓄事典(2004年(平成16年)9月発行)デジタルより