驚くほどの値段で取引きされたヴィンテージ・ジーンズ:「古着リサイクル・ファッション」1992

驚くほどの値段で取引きされたヴィンテージ・ジーンズ:「古着リサイクル・ファッション」1992

バブル経済の崩壊とともに世の中の価値観は一変した。若者ファッションでいえば「古着ファッション」の流行がそれを象徴するものだったといってよい。バブルの時代には見向きもされなかった古着が見直され、それを着ることがカッコイイこととされるようになったのだ。アメリカのデッドストックものが大量に輸入され、レプリカものやリメイクものが大量に消費されてゆく。各地に古着専門店がオープンし、そうした情報を満載した専門誌に人気が集まったのもこのころのこと。驚くほどの値段で取引きされるヴィンテージ・ジーンズのブームも、この「古着ファッション」の流行から生まれたものといってよいだろう。またフリマ(フリーマーケット)のブームも、これと軌を一にするものだった。こうしたリサイクル・ファッションの流れは昔からあったけれど、90年代のそれは単なるファッションというより、時代が生んだ必然であったような気がしてならない。

ファッション蘊蓄事典(2004年(平成16年)9月発行)デジタルより