年代別『流行ファッション』物語:「ポップ・ファッション」1965〜1969

テレビCM「イエイエ」が大評判だった

60年代を象徴する美術表現「ポップ・アート」は、1962年のロイ・リキテンスタインの登場で幕を開けた。続くアンディ・ウォーホルやジャスパー・ジョーンズらの活躍によって、ニューヨーク生まれのポップ・アートは現代美術の方向を決定づけたのである。これがファッションに影響を及ぼさないわけがない。65年のサンローランの「モンドリアン・ルック」やクレージュの「スペース・ルック」はまさにポップ・アートのモード化であり、66年にカルダンが発表した「コスモコール・ルック」もこの影響を強く受けている。それらに見る鮮やかな色使いと弾むようなデザイン感覚は、ポップの語源どおりたちまち大衆化し、街にポップ・ファッションの大波を作り出した。大きなトンボメガネにどぎついポップ・メイクのミニスカ・ガール。67年にヒットしたレナウンのテレビCM「イエイエ」は、そうした女の子たちをブラウン管に躍動させて大評判をとった。

ファッション蘊蓄事典(2004年(平成16年)9月発行)デジタルより