日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

スパニッシュ・コート

海外でまったく通用しないファッション用語:スパニッシュ・コート

スパニッシュ・コート
Spanifh coat

正しくは
【ゴール・コート】
goal coat

スパニッシュ・カラーと呼ばれるニットのリブ網の大きな衿を特徴とするコート。もともとはアメリカでフットボールのスペクテイター(観戦用コート)として用いられたもので、ゴール・コートというのがアメリカでの名称だが、日本ではなぜかスパニッシュ・コート、あるいはこれを略してスパニー・コートなどと呼ばれるようになった。スパニッシュは、もちろん「スペイン風の」という意味である。

スパニッシュ・コートといっても、いまの若い人たちはほとんど知らないだろうなあ。太畝のコーデュロイや綿スエードなどで作られ、色はラクダ色かグリーン系。それに、なんといっても首を取り巻くように付けられたリブ編みの大きなニット衿が目につき、その片方の衿足にはこれまた大きなタブ(持ち出し)が付けられていた。この衿の形をスパニッシュ・カラーというのだそうで、そういえばなんとなく昔のスペイン人の南蛮服に見る衿型に似ていなくもない。(あれは本当はラフなどという)ここからスパニッシュ・コートあるいはスパニー・コートという名前が生まれたというのだが、どうもこれは怪しい。翻って、アメリカでいうゴール・コートのゴールとは「決勝点」の意であるという。アメリカン・フットボールの観戦着に多く用いるところから、その決勝点をもじってゴール・コート。これは実にわかりやすいネーミングだ。このコートがもっとも流行したのは、1960年代のアイビー・ルック大隆盛のころだったから、もしかしたらこの命名者も、あのVANヂャケットであったのかもしれない。