サヴィル・ロウに妖精の粉をふりかけたスウィンギン60’Sのピーターパン(2)
ロンドンのシックスティーズ
しかしその後にビートルズの『ラブ ミー ドゥー』(62年)が彼の後押しをした。スティーブンの店『ヒズ・クローズ』はスタンドカラーとエポーレット付きのミリタリージャケットに、フラワープリントのシャツを売り出し、カーナビールックはスウィギン・シックスティーズの先鞭をつけたのである。
1960年代に起きたメンズファッションの変革はサブカルチャーに限定したものではなかった。紳士服界に初めてファッションデザイナーが登場したのもこの時代である。
1945年12月ジョージアン様式のファサードに魅せられたハーディ・エイミスがスタッフ8人を引き連れ、サヴィル・ロウに引っ越してくる。女王陛下のクチュリエは友人のアレクシス・フレンチの紹介で、マスターテーラーのワイザーを知る。ワイザーの手を借りて1959年に初のメンズコレクションのサンプルを作り上げ、既製服メーカーのヘップワースがこれを製品化した。
1960年にピエール・カルダンはパリのクリヨンホテルにおいて自身初のメンズコレクションとなるシリンダーライン(ビートルズの丸首ジャケットの原型といわれる)を発表するが、そのわずか1年前の出来事であった。
・・・次回更新に続く