日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

チャイナ・カラー

海外でまったく通用しないファッション用語:チャイナ・カラー

チャイナ・カラー
china collar

正しくは
【マンダリン・カラー】
mandarin collar

チャイニーズ・カラー Chinese collarともいう。説明するまでもなく、「中国の衿」という意味で、中国の民族衣装に見る独特の衿型をさす。いわゆるスタンド・カラー(立ち衿)の一種であるが、洋服に見るそれとはちがって、東洋調の雰囲気のあるのが特徴とされる。この衿型を英米ではともにマンダリン・カラーと呼ぶが、マンダリンとは中国の官吏、とくに清朝時代の高等官吏をいい、彼らの着ていた制服に由来している。

チャイナは「中国」の意味で、日本では「支那」に直結し、チャイナ・ドレスやチャイナ・ボタンといった言葉が、すぐに思い浮かぶ。だからチャイナ・カラーとかチャイニーズ・カラーといえば、あの独特の衿型がすぐに連想できるのだが、英米では必ずしもそうではないらしい。日本のチャイナ(チャイニーズ)・カラーは、英米ではマンダリン・カラーなのである。マンダリンというのは中国が清(しん)といっていたころの官吏のことで、とりわけ清朝末期の高級役人をさしている。彼らの着ていた、いかにも中国を思わせる派手な刺繍入りで広い袖の立ち衿上着をマンダリン・コートといい、それに見る衿だからマンダリン・カラーというのである。西洋の服に見られるスタンド・カラーよりは、衿腰の部分が低いのが特徴で、角が丸くカットされ、前が突き合わせ型になっているのも中国ぽくてよい。ところでアジア産の立ち衿といえば、中国のマオ・カラーやインドのネール・カラーといったものが有名だが、最近ではネール・カラーは「ネルー・カラー」と呼ばれるようになっている。インドの元首相ネールは、いまではネルーというのが正しいのだ。