男子專科 2014 AUTUMN vol.2 より

男子專科 2014 AUTUMN vol.2 

サヴィル・ロウに妖精の粉をふりかけたスウィンギン60’Sのピーターパン(8)

ブライアン・エプスタインとの出会い

そう考えていた矢先に長身でイケメンな仕立て屋のセールスマンだというトミー・ナッターが現れ「これからはサウンドも大事だけれど、それと同じくらいアーティストが何を着ているか、つまりビジュアルが大切な時代になってくる」と力説したからたまらない、トミー・ナッターはたちまち気に入られ、仕立て屋の仕事と平行してビートルズのビジュアル面を背後で支えるブレーンのひとりに加わることになった。

トミー・ナッターの才能がビートルズのスタッフに知れ渡るのに、こんなエピソードがある。1967年『サージャント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が発売された。この史上初のコンセプトアルバムのアートディレクションを担当したピーター・ブレイクは「俺はいつもジーンズばかりで、そろそろ初めてスーツって奴を作りたいのだけれど、何かアイデアがあるかい」と、トミー・ナッターに相談。するとトミーは笑いながら「なんの問題もないよ。きみがいつも愛用している生地でスーツを作ればいいじゃないか」と、デニム地で素晴らしいダブル胸スーツを仕立ててくれた。それがあまりに格好いいので、トミー・ナッターの評判は音楽関係者の間で高まったという。

・・・次回更新に続く