CINE PREVIEW:イヤー・オブ・ザ・ドラゴン

男子專科 1986年3月号 NO.264 より

イヤー・オブ・ザ・ドラゴン

恐るべきチャイナ・マフィアにひとり挑む男は、非常のシーンをくぐり抜けて橋上の対決へ、ゾクッ!

”今年最高の映画の1本” ”5つ星、最高得点” ”今年のベスト映画、大ヒットするだろう”と、アメリカのテレビ局や新聞社などマスコミで絶賛を博した映画である。

とにかく前評判が凄い!ということで私も試写会に出かけていったのだが、内容は文句なしの超傑作。アクション映画としての面白さ、重さ、スケールという三拍子を揃えた見ごたえのある作品で、2時間14分の超ロングサイズにもかかわらず時間の長さをまったく感じさせない。

”やっぱりマイケル・チミノ監督はすごい。『デイア・ハンター』で話題をまき、この映画でその実力を伸ばした・・・・・・”と、ジャーナリストの多くが高い点数を出してほめていた。飽きさせずにぐいぐい引っ張っていく迫力の原動力は、まさにマイケル・チミノ監督独特の演出力によるもので、超大作によく見られるムダな部分がなく、矢つぎ早にストーリーが展開していく。”すごい”といわせるポイントのひとつにまずこの点をあげることが出来る。

それでは、この映画の魅力のポイント、見どころとは何か?という点について紹介していこう。この『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』は、一ロに言えばニューヨークのチャイナタウンをバックに、チャイニーズ・マフィアの内幕をあばきながら、中国系移民とアメリカとのかかわりを描いている映画なのだ。したがって、今までの暗黒街を描いたアメリカ映画とは内容的にちょっと趣を変えている。それが、今までにない非情な場面として映るし、迫力満点のバイオレンスとなるわけだが、東洋的なムードで包まれているだけに、日本人としては身近かに感じてドキッ!とする。このため”見ごたえあり”という言葉が思わずロから出てくるのだ。