昨日と今日の男の博物誌:ウッディ・アレン

男子專科 1986年7月号 NO.268 より

ウッディ・アレン(アメリカ:俳優・監督・作家:1935~)-6

高卒だって?30年遅いね。

ところで、ウッディ・アレンという名前は、本名ではありません。

アレン・スチュワート・カニグズバーグ。

これが、ほんとの名前です。この名前からも分かるとおり、ユダヤ人の息子としてニューヨークのブルックリンに生まれました。

「ぼくは、フランクっていう名前だって言っていたけど、それでも殴られたものさ」

いじめられっ子のユダヤ少年として、おそらく暗い日々を送らざるを得なかったにちがいない。小柄なアレン少年が生きのびることができたのは、自分に与えられた天賦の才、ギャグ・ライティングのあり余る才能を生かす日のためのひそかな愉しみをもちつづけていたからだと言っていいかもしれません。

ハイスクール時代には、もうプロのエンターティナーに頼まれてギャグやジョークづくりを手がけては小遣い稼ぎをしていたそうです。

たいへんな早熟小僧だったわけですが、稼ぎのほうでも恐るべき早熟ぶりを発揮していたらしい。20歳になるかならないかのうちから、テレビのギャグ台本を書きまくって週に1,500ドルも稼いでいたそうですから、なんとも凄い。いまから30年も前の時代に月収6,000ドル(当時の1ドル360円で計算すると216万円)というのは、まさに破天荒というか、メチャクチャというか。その頃の日本の大卒初任給がたしか1万円そこそこだったことを考えると、アレンの稼ぎがいかにすさまじいものであったかが分かろうというものです。近頃「高卒」を売りものに人気を集めているコンビと同じように、アレンもハイスクールを出ているだけですが、ニューヨークの高卒ボーイのほうは、ちょっとばかりケタがちがっていたようですね。

・・・次回更新に続く