ファッションについては大概のことは知っているつもりだが、それでもどうしてもわからないことは多い。たとえば「リゾート着はなぜ派手なプリント柄が多いの?」と問われても、リゾートウエアってそんなものでしょ、とか、そうじゃない大人しい無地のリゾート着ってのも結構あるよ、などと答えるしかないのだ。ま、これもファッション・トリビアに関するようなもので、知っておいて損にはならないが、知らなくてもどうでもよいことが多い。ただしフォーマルウエアについての知識、こればかりは知っておいてけっして損にはならない。というよりも知らないと恥をかくことにもなりかねないのだ。何をどう着ようがかまわない自由な着こなしが横行する現代の世の中だが、フォーマルウエアの世界だけはそういうわけにはいかない。
ジーンズの強度をつけるためのリベット、なぜ当時は銅製だったの?
ジーンズをジーンズたらしめているもの、それは何といってもカッパーリベットのデザインにあると断言する。カッパーとは「銅」の意味で、カッパーリベットとはすなわち「銅製の鋲(びょう)」。ジーンズの元祖リーヴァイスのそれを見ると、最初から銅だったようで、それは今でも銅で作られているのだ。メーカーによってはステンレスやニッケル、アルミニウムといったものも使われ、第2次世界大戦中は「鉄」のリベットが用いられたこともあるそうだが、やはりジーンズのリベットは銅に限るらしい。なんとなれば、銅という金属は硬すぎず、柔らかすぎず、ちょうどよい感触を持っているからで、鉄に比べると錆びることもあまりない。緑青という銅特有の錆びが出ることはあるけれど、これはこれで味があってまたいいものなのだ。こうしたリベット打ちのジーンズが特許を取ったのが1873年5月20日のこと。リーヴァイ・ストラウス社の権利ではあったが、その発案者はアメリカ・ネバダ州リノの仕立屋ジェイコブ・デイヴィスであった。