基本姿勢は生活感の排除・・・2

DANSEN FASHION 哲学 No.165 楳図かずお:原色と横縞と星が好きで、まるで星条旗・・・男子專科(1985年7月号)より

DANSEN FASHION 哲学 No.165 楳図かずお:原色と横縞と星が好きで、まるで星条旗・・・男子專科(1985年7月号)より

いくら派手好き、目立ちたがり屋の僕でも、状況が合わないとやっぱり着にくい。着ても伸び伸びできないこともある。好まない人がいると肩身はせまい。自分ひとり変わったかっこうをしていると「アホ!」と思われるだけ。そうなると、自分を受け入れてくれる世界が必要になってくる。自分の着たいと思った服を着ても許される世界が。それがパンクやロックンロールをやることにつながるというわけだ。

だから僕はフォークはダメ。もちろん最近はかなり状況は変わってきているけども、その昔のフォークのイメージは、僕にとって派手でもファッショナブルでもなかったもの。

大胆なファッションを、肩身のせまい思いをしないで楽しむためには、ひとりじゃどうしても限界がある。それが複雑になると、ひとつの世界をつくり出すことができる。かつてのあのピンクレディーも、なんであんなに流行ったかっていうのも、やっぱり二人だったから。ひとりであんなに超ミニのギンギラファッションだったりすると「アホみたい」なんていわれていただろう。

だからといって、よく街で見かけるペアルック、これはもうダサい。なぜダサいかというと、トレーナーやTシャツをそろえたりと地味めで、無難さから脱していないからだ。同じペアルックにするならば、もう思いきって派手めに大胆にキメたほうがぜったいにいい。他を圧倒するひとつの世界ができるし、主張だって感じられるもの。

僕は生活を感じさせるものはなるべく避けたい。服だって、ベージュや茶、グレーなど、僕にとって生活感のあると感じられるものは着ない。派手なものを好むのも、やっぱりいちばんの理由は、そんなところにあるのだろう。漫画をかくにしても、貧乏と病気をテーマにしたものは、これまでもかかなかったし、これからもかくつもりはない。生活感の排除、これはファッションにも漫画にも、そして僕自身の生き方にも共通する基本姿勢だ。

・・・了