蜘蛛女のキス
なんとも異様な輝きを持った映画。
”今まで見たことがない新しい感激を与えてくれる映画!”と、アメリカのマスコミがこぞって絶賛し、ニューヨークでは40週(約10ヶ月)にわたるロングヒットを記録した話題作の登場である。
その人気の秘密は、新鮮なスタイルの脚本、奇抜なドラマ設定、綿密に計算しつくされた演出。そして抜群にすばらしい演技力などをあげことができるが、一言でまとめれば”異様な輝きをもった魅せる映画”ということになろう。
その異様さというのは、ほとんどが主役を演じるウィリアム・ハートの迫真の演技によるものだ。彼はオカマチックな動きと言葉の表現、それに、珍妙な衣装をまとってセクシーな匂いを発散させるが、その異様なムードは背筋が寒くなるほどの色気を感じさせる。こうした点が買われたのだろうが、彼はこの映画で85年のカンヌ映画祭、86年のアカデミー賞とイギリス・アカデミー賞で、最優秀主演男優賞を獲得し、実力派トップ・スターの仲間入りを果たした。