日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

海外でまったく通用しないファッション用語:スニーカー

スニーカー

スニーカー
sneaker

正しくは
【スニーカーズ】
sneakers(米)
【トレーナー(ス)】
trainers(英)

ゴム底で、歩いても音がしないことを最大の特徴としたカジュアルな靴。本来はキャンバス・トップの布製運動靴のみをいい、これを日本ではズックあるいはズック靴と称した。現在では合成皮革のソフト・レザーなどの素材も使い、機能的にもデザイン的にもすぐれたスニーカーが、多くあらわれるようになっている。アメリカではスニーカーで十分通じるが、最近のイギリスでは、これをなぜかトレーナーという傾向が強い。

スニーカーとは、もともと「忍び歩く人」「こそこそ歩く人」という意味からきたもので、靴底がゴムであるというところに由来している。スニーカーの原型が誕生したのは、1868年のクロケー・サンダルと呼ばれるゴム底、布製のスポーツ靴であったとされ、以後スニークスなどと呼ばれる時代を経て、アメリカでスニーカーという口語が定着した。スニーカーでももちろん通用するが、より正確には複数形でスニーカーズ。これは靴が必ず両足で履かれるものであることを意味しているのだ。またイギリスでは、この種の靴をいうのにプリムソル plimsollという言葉が使われていた。これはゴム底でプレーンなつくりの布靴で、学童用の運動靴、いわば日本のズックに相当する。ところが最近のおしゃれなスニーカーのことはトレーナーというようになっているのだ。もちろん複数形ではトレーナースという。ハイテク・スニーカーは、ハイテク・トレーナースなのである。日本でトレーナーといえばスウェット・シャツ。イギリスではスニーカーを意味するというから、ファッションの世界は面白い。ちなみにズックというのは、もともとオランダ語で、布地の一種をいうのだ。