日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

アイビー・ルック

海外でまったく通用しないファッション用語:アイビー・ルック

アイビー・ルック
ivy look

正しくは
【アイビー・リーグ・スタイル】
ivy league style

アメリカ東部の有名8私立大学の学生、およびその卒業生たちに見られる特有の服装。8つの大学で結成されるアメリカン・フットボールのリーグ戦をアイビー・リーグというところから生まれたファッション用語ではあるが、このアイビー・ルックというのは和製英語。アイビーは「蔦(つた)」の意味で、蔦ルックといったって通じるわけがない。アイビー・リーグといえば、そうした8大学の総称となるから、ここはアイビー・リーグ・スタイルといえばよい。

アイビー・リーグに属す8大学とは、ハーバード、エール、プリンストン、ペンシルベニア、コロンビア、ダートマス、ブラウン、コーネルのこと。いずれもアメリカ東海岸(イースト・コースト)における名門校ばかりだ。こうした大学の校舎の壁にはアイビー(蔦)が生い茂っていることが多かったところから、アイビー・リーグという名が生まれたというのが定説となっている。古きよき英国調の服装を元に発達してきたアイビー・リーグ校のキャンパス・ルック(学園風俗)は、1950年代には独特のスタイルに仕上がっていた。これをアイビー・ルックとして日本に紹介したのが、当時のVANヂャケットの社長、石津謙介氏だった。1954年(昭和29)、創刊された「男の服飾」という雑誌。これが後に「メンズクラブ」となる。そこから空前のアイビー・ルック・ブームが訪れたのは説明するまでもない。アイビー・スーツというのも、日本では1959年(昭和34)に発売され、翌年から売れはじめるが、元をただせば、アメリカのIACDという団体が1955年に発表したアイビー・リーグ・モデルというのが原型。正しくはアイビー・リーグ・モデル・スーツと呼ぶ。