皇室の方が礼服につけるタスキは何というの?

服装スタイルの「謎・不思議」: 皇室の方が礼服につけるタスキは何というの?

ファッションについては大概のことは知っているつもりだが、それでもどうしてもわからないことは多い。たとえば「リゾート着はなぜ派手なプリント柄が多いの?」と問われても、リゾートウエアってそんなものでしょ、とか、そうじゃない大人しい無地のリゾート着ってのも結構あるよ、などと答えるしかないのだ。ま、これもファッション・トリビアに関するようなもので、知っておいて損にはならないが、知らなくてもどうでもよいことが多い。ただしフォーマルウエアについての知識、こればかりは知っておいてけっして損にはならない。というよりも知らないと恥をかくことにもなりかねないのだ。何をどう着ようがかまわない自由な着こなしが横行する現代の世の中だが、フォーマルウエアの世界だけはそういうわけにはいかない。

あれの名称は「大綬(たいじゅ)」という。「綬」というのは、昔の中国で官職の印を帯びるのに用いた組み紐のことをいい、ここから礼服(らいふく)着用の時に乳の下から結び垂らした帯、また勲章や褒章、記章などを佩(お)びるのに用いる紐を指すようになったもの。日本の皇室では大綬、中綬、小綬、略綬の種類があり、これは明治8年に布告され、明治21年の勅令で定められている。中で「大綬」はもっとも格式の高いものとされ、これは右肩から左脇へタスキ掛けし、そこには一等勲章が飾られる。いわば最高の盛装ということになるのだ。皇室行事の服装指定に「デコレーションズ」とある場合には、燕尾服やローブデコルテ(婦人の最高礼装)に然るべき勲章をつけて参列するのが習わしとなっているのである。皇室から招かれることなんてそうあるものではないが、万が一そうなっても心配することはない。服装のことについては、すべてきちんとした指示が下される。