男ならまずほとんどが、スーツを着る。ジャケットを着る。そのとき必ずあらわれるのが逆三角形の小さなスペース、すなわちVゾーンである。そして、背広が男の顔たりえるのは、このVゾーンこそ、男のファッション哲学をはっきりと示した看板だからだ。Vゾーンに強くなければ、お洒落な男になれても、男のお洒落れを極めることは不可能だ。
dansen 男子専科 December 1988 より
男はVに強くなれ：質感の組合わせはVゾーンを新鮮にする
THE V ZONE 努力せずに成功する法
成功するにはまず他人の信頼をかちとることが肝要。だが、信頼関係は長い時間つきあいを重ねても、なかなか生まれてこないものなのだ。ところが、それを簡単に解決してくれるのがVゾーンである。
信頼感がいっぱいにあふれたVゾーンをつくるには、徹底的にベーシックでまとめることだ。一般に言う、まるで銀行員のよう、という感じにすればいいわけ。ネクタイは無地または無地調が基本、柄物でもクラシックな伝統柄の縞模様か水玉ぐらいにとどめておきたい。シャツは白かごく淡い色物の無地、そしてスーツは黒に近いグレーか紺。この三つのアイテムで構成されたVゾーンは、だれがどう転んでも信頼感があふれるはず。
だが、このベーシック型Vゾーン構成法にはとんでもない落とし穴がかくされているのに気をつけたい。それは粗悪な品質の安物づくめの安易な組合せなのだ。色柄が控えめになればなるほど、スタイルがベーシックになればなるほど、その上物と安物との差がはっきりと現れてくる、ということ。可能な限り高品質の（値段ももちろん高い！）タイやシャツやスーツを組んでみたい。そこには本当にリッチな信頼感があふれてくる。信頼という感情はリッチに対して起こる気持ちなのを忘れないようにしたいもの。たとえ買うときには高価でも、こうしたベーシック物は長い年月に使用に耐えるのを考えたら、実質的には意外にお買い得になるものである。
