日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

オープン・シャツ

海外でまったく通用しないファッション用語:オープン・シャツ

オープン・シャツ
open shirt

正しくは
【オープン・カラー・シャツ】
open collar shirt

オープン・カラーという首元が開いた形になった衿型を特徴とするシャツ。俗に「開衿シャツ」の名で知られるもので、日本では夏の男のシャツとして多く用いられた。したがって、正しくはオープン・カラー・シャツというべきで、オープン・シャツというのは日本独特の名称となる。オープン・カラーは小さなノッチ・ラベルを特徴としており、別にパジャマ・カラーとかキャプテン・カラーということもあるが、これも日本的な俗称である。

「開衿シャツ」というと、まったく古いアイテムになってしまった。いまやそれは、戦前の紳士の夏姿やテレビの刑事ドラマにみるオヤジ刑事の姿をしか連想させないのではないだろうか。しかし、クソ暑い日本の夏を快適に過ごすには、これほどうってつけのシャツもない。ネクタイを締める必要もないし、裾も普通のワイシャツとちがってまっすぐにカットされた形になっているから、裾を外に出して着ることもできる。それに、半袖、純白のコットン地という要素も加わり、ドレッシーな表情もあるから、仕事着として着用してもさしつかえない。日本の夏にぴったりな服もないと強調する理由もわかるだろう。実際、日本では真夏の防暑対策として、この「開衿シャツ」を着ようという運動が、戦前を含めて何度も提唱されている。別種のオープン・カラーには、ノッチ・ラペルの第1ボタンのところにループを取り付けたタイプがあり、これを留めるとふつうのシャツ・カラーのようになるのもある。これをコンバーティブル・カラー(両用衿)というのだが、これを日本では昔からスポーツ・カラーといい慣らしてきた。このためにスポーツ・シャツという別名もあるのだ。