日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

ポロ・シャツ

海外でまったく通用しないファッション用語:ポロ・シャツ

ポロ・シャツ
polo shirt

より厳密には
【ウイズ・カラード・ニット(スポーツ)・シャツ】
with collared knit(sports)shirt

ニットのシャツ衿と、2~3個のボタンを付けた浅めのプラケット(前立て)を特徴とする半袖、プルオーバー型のスポーティーなニット・シャツ。ポロというスポーツに用いられたことからこの名があるというが、実態はいまひとつ詳らかではない。テニスやゴルフなどのスポーツに用いるほか、現在ではごく日常的なカジュアル・シャツのひとつとして着用されることが多く、色柄・素材、デザインともに多様な変化に富んでいる。

ポロ・シャツのポロがイギリスの伝統的な馬上球戯ポロに因むというのは、どんな辞・事典や服飾用語の文献を見てもそのとおり記載されていることは疑うまでもない。ところが、この言葉が日本で作られたといえば、どうだろう。そんな驚くべき解説が今から20年ほど前の某服飾業界専門誌に載っている。関西在住のファッション評論家H氏の記述によると、こうだ。〈ポロ・シャツが英語だと思っている人が多い。しかし、これは和製英語である。戦後間もなく、英国製のこれ(衿つきニットシャツ)を日本のR社の社員が手に入れた。それまで日本にこんなシャツはなかったので、R社では早速作り売り出すことにした。その時なんの気なしに手に入れた見本についていた《skipper》という織りネームを見て「スキッパー」という名をつけて売り出した。(中略)ところが、売り出して間もなくスキッパーとは英国のメーカー名であることに気づき、あわててこの名を撤回することになった。そして、英国のポロ競技に着ているということで「ポロ・シャツ」と呼び名を変更することになった・・・・・・〉というのだが、そうなるとポロ・シャツという言葉は、海外ではどうも通じない?。