日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

カットソー

海外でまったく通用しないファッション用語:カットソー

カットソー
cut sew

正しくは
【カット・アンド・ソウン】
cut and sewn

ニットウエアの一種で、丸編機や経編機などで流し編みしたニット生地(編み地)を、織物の服を作るように裁断(カット)し、縫製(ソウン)して、製品化するものをいう。本来はニット製品の製造方法をさす専門用語で、横編機やフルファッション編機という編機を使い、編目を増減することによって編幅を変え、製品の形に仕上げてゆくファッショニング(成型編み)と区別する意味で用いられている。俗に「裁断もの」とも呼ばれる。

ニットウエアとは編んで作られた衣料の総称。だから、セーターもカーディガンもニットウエアで、あのTシャツやトレーナー(スウェット・シャツ)もニットウエアのひとつだ。こんなことをいうと、へぇー、セーターとTシャツはまったくの別物と思っていたと驚かれるかもしれないが、それはただ作り方が違うだけの話で、セーターは1本の糸を編み上げて作られるのに対し、Tシャツやポロ・シャツといったニットウエアは、すでに編んで作られた生地(これをニッテッド・ファブリックという)を使い、これを織物の服を作るのと同じように型入れ、裁断し、その部分品を縫い合わせて、ひとつの形に仕上げるわけである。織物の製品と同じように裁断(カット)し、縫製(ソウン)するから、カット・アンド・ソウンと呼んでいるわけで、これはニットウエアの製造方法についてだけ用いる言葉とされている。これを日本流に略してカットソーという習慣がいつのまにか広まってしまったが、これは海外では絶対に通じない。どうしても使いたければ、ニット・シャツとかニット・ブラウス、ニット・スカート、ニット・パンツというように、単独のアイテム名で呼ぶほうがいいだろう。