日本でそもそも「◯◯族」という言葉が使われた最初は、1948(昭和23)年の「斜陽族」からだという。太宰治の小説『斜陽』(1947年12月刊)から出たもので、第2次世界大戦後に没落した上流階級の人たちをそう呼んでおり、これは48年6月、太宰治が玉川上水で心中事件を起こしたところから、一気に広がったものだ。これが51年には会社の車を乗り回し、高級料亭で遊びまくる「社用族」というように転用されるようになるが、日本における「族」の歴史なんてそんなものだったのだ。いずれもファッションとはなんの関係もないが、徒党を組んでとんでもないことをやらかす若者集団という意味では、やはり「太陽族」を日本の「族」の元祖としなければならないだろう。そして、そのリーダーと目された青年こそ石原慎太郎氏(元・東京都知事)であったのだ。
アイドル集団ハロー!プロジェクト
2000年代「ミニモニ族」2002~
オシャレ感覚いっぱいの小学高学年から中学生の女の子たちを総称する。ミニモニ族という名称は、「モーニング娘。」から生まれたアイドル集団ハロー!プロジェクト(ハロプロ)の人気ユニット『ミニモニ。』からきたもので、伊藤忠ファッションシステムの川島蓉子によって名付けられた。ローティーンの少女たちのファッション感覚に目を付けた専門誌というのは、1997(平成9)年6月に創刊された『ニコラ』(新潮社)が最初とされる。当初は苦戦したものの、チャイドル(ちっちゃいアイドル)の人気や『モー娘』の活躍などによってこの世代のファッションに火が付き、いまでは空前のブームを呼ぶまでに成長している。「族」と呼ばれる集団が少なくなってきた中で、彼女たちの存在はもはや珍しいといっていいかもしれない。本当の『ミニモニ。』は残念なことに、2004(平成16)年5月2日のコンサートをもって、無制限活動停止に入ってしまった。