日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

カラー・シャツ

海外でまったく通用しないファッション用語:カラー・シャツ

カラー・シャツ
color shirt

正しくは
【カラード・シャツ】
colored shirt

色のついたドレス・シャツの総称。いわば色無地ワイシャツのことで、白のドレス・シャツや柄の入ったパターンド・シャツと対比させて用いる言葉。カラーは「色・色彩」の意味で、このままでも通じなくはないが、正しくはカラード(色のついた・着色した)・シャツという。1967年、アメリカ・デュポン社によって提案された『ピーコック革命』から、男のドレス・シャツの色彩化がはじまり、カラー・シャツが大流行したことがある。

1967年に起こったピーコック革命というのは、すさまじかった。「男たちもピーコック(雄クジャク)のようにもっと色彩を採り入れ、華麗に装おうではないか」というアメリカのディヒター博士の提唱を、大手化繊メーカー「デュポン社」がプロモーションしたこの男の服装の一大革命運動は、またたく間に世界中を駆け抜けた。その背景には、日本で「ドブネズミ・ルック」と揶揄されたほど、男たちのダークな服装がまかり通っていたわけだ。これは男の服装全体の色彩化を示唆していたのだが、日本ではなぜかドレス・シャツとネクタイのそれだけにとどまってしまった。そして、やたらカラフルなシャツとド派手な色柄を採り入れたワイド・タイ(広幅のネクタイ)が流行するようになってしまったのだ。行き過ぎたファッションは、やがてすぐに駄目になる。カラー・シャツも正しくカラード・シャツと認識されないままに消え去ってしまったのである。そして、いま、街にはきれいな色目のドレス・シャツを着た若いビジネスマンたちがあふれかえっている。ネクタイの組み合わせ方も、見違えるほどスマートなものになっている。これをして、第2のピーコック革命、といってもいいのではないだろうか。