「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

雑誌『アンアン』は『平凡パンチ』から生まれた

ファッション・トリビア蘊蓄学:雑誌『アンアン』は『平凡パンチ』から生まれた

1970(昭和45)年3月の創刊以来、日本のレディースファッションをリードしてきた観のある雑誌『an・an』だが、実はこれ、同じ出版社(平凡出版、現・マガジンハウス)から出ていた『平凡パンチ』という雑誌から派生したものである。『平凡パンチ』は日本最初の本格的男性週刊誌として1964(昭和39)年に創刊された伝説的な雑誌で、60年代から70年代にかけての若者文化をリードし続けたものだが、1966(昭和41)年6月に『平凡パンチ女性版』という雑誌を臨時増刊として発行している。「女性のためにつくりました」というキャッチフレーズの下に、ミニスカートを奨励する記事などを掲載しているが、結構売れたようで、2カ月後にはその第2号が出ている。そして、しばらく間をおいた1969(昭和44)年12月に第3号が発行され、これには「急募!新女性誌スタッフ」の記事が載る。さらに1970(昭和45)年2月に第4号が出て、これには「新女性誌の誌名がきまりました!」とあるのだ。この新女性誌が『an・an』であったことは申すまでもないだろう。