「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

オリンピック選手からデザイナーになった人がいる

ファッション・トリビア蘊蓄学:オリンピック選手からデザイナーになった人がいる

現在ではオリンピック選手引退後に俳優やタレントなどになる人は多いから、そう驚くほどのことでもないが、今から50年も昔にオリンピック選手からファッション・デザイナーに転身した人がいたといったら、少しは驚かれるかもしれない。その人とは、かつてイタリアのスポーツ界の英雄とされたオッタヴィオ・ミッソーニである。今では「ミッソーニ」といえばニット・デザインのトップ・ブランドとして世界中に知られるが、創業者オッタヴィオ・ミッソーニは1948年に開催された「ロンドン・オリンピック」にイタリア代表の陸上選手として出場している。成績はどうだったかよく分からないが、この時イタリア選手団のユニホームもデザインしたというから、元々ファッション・デザインには縁があったのだろう。その後1953年にロジータと結婚。妻の祖父が創業したニット工場を継いで、世界でも珍しい「夫婦ニット・ブランド」を育て上げていったのだ。