「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

ポロシャツは本来「丸首」だった

ファッション・トリビア蘊蓄学:ポロシャツは本来「丸首」だった

ポロシャツはポロ競技に用いたところから生まれたというのが定説となっているようだが、最初から今に見るような形であったわけではない。インドを支配していた英国が当地のポロ・ゲームを本国へ持ち帰り、近代的なスポーツとして醸成していったのが17世紀から19世紀にかけてのこととされる。これが近代スポーツとしての陣容を整えるのは1869年のこと。インド駐在の騎兵10連隊の将校がインド・マニプルで行われたインド式ポロを観て、これを英国の球技であるポールモールに取り入れ、競技方法を決定したところからスタートしたのだ。で、このころ用いられた競技着というのを見ると、それは丸首、半袖のTシャツのような形のシャツであったのだ。ポロシャツという名称もまだなく、それはチャッカシャツと呼ばれていた。チャッカというのはポロ競技の試合時間をいい、1チャッカは7分30秒である。やがてこれを衿付きの布帛シャツとし、さらにはニット地に置き換えて、いわゆるポロシャツとなるのは20世紀に入ってからのことなのだ。