日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

ベルボ

海外でまったく通用しないファッション用語:ベルボ

ベルボ
bell-bo

正しくは
【ベルボトム・パンツ】
bell-bottom pants

ベルボトム・パンツの短縮形で、裾が釣り鐘(ベル)のような形に広がったパンツをいう。いわゆるフレヤード・パンツの一種だが、1970年代に大流行を見たベルボトム・ジーンズは、腰から膝あたりまではぴったりとフィットし、膝下から裾にかけて急速に広がるシルエットを最大の持ち味としていた。ふつうは裾幅25㌢前後のものだが、なかには35㌢以上のものもあり、これをとくにエレファント・ベル(象の足型)と呼んだ。

イメージ・チェンジをイメチェンというように、本来の言葉を短く約めて表現するのが日本人は得意なようだけれど、1990年代に入ってこの傾向は、より加速しているように思う。ラブホ(ラブホテル)、テレクラ(テレフォンクラブ)、コスプレ(コスチュームプレイ)などと、それは風俗業界の用語に多いように思うが、どっこい、ファッションの世界も負けてはいない。ことに最近はこの種の用語が、どっと増えているのだ。ジャケスラ(ジャケット&スラックス)とかミニスカ(ミニスカート)はもう定番だからすぐわかるとしても、デニジャケとかタンキニなどといわれると、まるでなんのことかわからなくなってしまう。ちなみにデニジャケはデニム・ジャケット、つまりジージャンであり、タンキニはタンクトップ+ビキニの水着をいう。そして、最近のヒットがこのベルボなのである。ファッション雑誌などで、はじめて使われるようになった時には、ちょっとイヤな気分だったけれども、そのうち慣れてしまった。さらに1999年あたりからは、これを膝下でカットしたようなパンツが登場した、これをミニベルボと呼ぶ流行が生まれているのである。ああ、嘆くまい。