CINE PREVIEW:ハメット

男子專科 1986年1月号 NO.262 より

ハメット

セピア調の画面に粋な帽子のハメットが困惑する表情を筆頭に、男泣かせのシーンが続出。

時は哀愁の1920年代、舞台は霧の深いサンフランシスコ、そして、けだるい感じがするジャズ・ムードのピアノにのって、いきなレインコートを着こなした男が登場してくる---といえば、三人男性がいれば二人は体をぐっと乗り出すだろう。何かが起こりそうな妖しい雰囲気を感じるし、謎めいたものがいろいろ仕掛けられているのではないかと思うからだ。

こうした男の期待に完全に応えてくれて、ミステリアスな世界をじっくり楽しませてくれる映画が、アメリカ映画『ハメット』である。ハメットといえば、多くの人は(いや男専の読者であればほとんどの人といったほうがいいかもしれないが・・・・・・)、あのハードボイルド小説の文豪か!?と、思い出すに違いない。この映画のタイトルにあるハメットとは、ずばりその人物を指しており、彼が主人公になって物語が展開していくのである。