男子專科 1986年2月号 NO.263 より
シルバラード
伝統的ウエスタンの抒情性を踏まえつつパワーアップのおもしろさ
クリント・イーストウッド監督・主演の『ペイルライダー』以来の大型西部劇の登場である。’50年代や’60年代のように、相次いで西部劇が登場してくるという時代ではないので、”ビッグな西部劇がやってくる"というだけで、多くの男性映画ファンは強い関心をもち、必要以上に興味を抱く。
かくいう私も、’50年代から西部劇を愛し、面白さと快感にとりつかれて来た人間だけに、カッカと赤い血が燃えてくる。だからといって、西部劇であれば何でもいいのではなく、ジーンと泣かせる見せ場があり、スカッとするシャープな切れ味がないといやだ!というのだから、ぜいたくな(ある意味では正統派ではないかも知れない)ファンなのである。
それでは、私なりのぜいたくな見方で、新作『シルバラード』の見どころを探ってみよう。というと、作品全体がどうなのか?が問題になるが、ひと言でいえば、現代的なフィーリングをもったオーソドックスな西部劇で、随所に見ごたえのある場面があり、狙いをつけて見ると面白さが倍増する作品と評価できる。