ファッションについては大概のことは知っているつもりだが、それでもどうしてもわからないことは多い。たとえば「リゾート着はなぜ派手なプリント柄が多いの?」と問われても、リゾートウエアってそんなものでしょ、とか、そうじゃない大人しい無地のリゾート着ってのも結構あるよ、などと答えるしかないのだ。ま、これもファッション・トリビアに関するようなもので、知っておいて損にはならないが、知らなくてもどうでもよいことが多い。ただしフォーマルウエアについての知識、こればかりは知っておいてけっして損にはならない。というよりも知らないと恥をかくことにもなりかねないのだ。何をどう着ようがかまわない自由な着こなしが横行する現代の世の中だが、フォーマルウエアの世界だけはそういうわけにはいかない。

学校の制服はなぜセーラー服が多いの?

服装スタイルの「謎・不思議」: 学校の制服はなぜセーラー服が多いの?

日本の女子学生にセーラー服の制服が採用されたのはいつのことか?これにも諸説があって、まさに「制服の邪馬台国論争」を呈しているのだけれど、最近の説では1921(大正10)年の福岡女学院が最初ということに落ち着いているようだ。初代校長であるミス・エリザベス・リーが自らデザインしたセーラー服を着て来日。これを基本にしてその年12月、セーラー服を制服として正式採用したところから、全国のミッション系の女学校に広まっていったというのが、どうやら真相のようなのだ。セーラー服はそもそも1857年、英国海軍の水兵(セーラー)の正式制服として制定されたもので、その後、各国の海軍がこれを見習うようになっていった。日本海軍ではこれを「ジョンベラ」と称していたという。一方、女学生の間ではキモノにハカマというスタイルが、女学生風俗として明治時代の末ごろから定着していたが、キモノではやはり不便ということで、機能的かつ英国の伝統的なセーラー服が注目され、その処女性とも相まって普及していったのである。