男子專科 1986年7月号 NO.268 より
ウッディ・アレン(アメリカ:俳優・監督・作家:1935~)-2
高卒だって?30年遅いね。
ウッディ・アレンは、すぐれたコメディアンがそうであるように(エディ・マーフィーしかり、リチャード・プライアーしかり)、じつに「いい目」をしています。
しっかりと元気だが気恥ずかしけで、どこか悲しげで、ガイガー・カウンターみたいに感じやすそうで、赤ん坊みたいに邪気のない目。たとえて、言えば、あのマルコス元大統領に代表される我利我利亡者族のドロリと濁って血走った狡猪眼とはまったく正反対の目をもっています。
この世に起こっているどんな出来事も、ぼくは決して見逃さないぞ。
そんな覚悟を肩ひじ張らずにキメこみながら、人生の裏と表を、男と女の悲喜劇を、自分自身のココロのなかを、大きく見開いた目でじいっと見つめつづけている。ヒューマン・ウォッチングの蓄積と持続が、あのアレン・ムービーの傑作となって出てくるのでしょうが、なんといっても驚かされるのは、そのアイディアのあざやかさ、瓢逸さです。
・・・次回更新に続く