なぜイタリアのシューズははきやすいといわれるの?

服装スタイルの「謎・不思議」: なぜイタリアのシューズははきやすいといわれるの?

ファッションについては大概のことは知っているつもりだが、それでもどうしてもわからないことは多い。たとえば「リゾート着はなぜ派手なプリント柄が多いの?」と問われても、リゾートウエアってそんなものでしょ、とか、そうじゃない大人しい無地のリゾート着ってのも結構あるよ、などと答えるしかないのだ。ま、これもファッション・トリビアに関するようなもので、知っておいて損にはならないが、知らなくてもどうでもよいことが多い。ただしフォーマルウエアについての知識、こればかりは知っておいてけっして損にはならない。というよりも知らないと恥をかくことにもなりかねないのだ。何をどう着ようがかまわない自由な着こなしが横行する現代の世の中だが、フォーマルウエアの世界だけはそういうわけにはいかない。

イタリアの靴はなぜはきやすいか? それは洋服先進国イタリアの伝統からきているものだろう。かつて洋服作りの本場はイタリアのナポリにあった。1351年、ナポリに仕立て屋のギルド(職人集団の組織)が発生し、そこで培われた技術がフランスに伝わり、イギリスへ広がった。イタリアの靴もこれと軌を一にして発展してきたのである。イタリアン・シューズの特徴は、良質の皮革と伝統の加工技術、加えて芸術的感覚にあふれる職人の存在の3つに求められる。イタリア各地には優れた靴の産地が散在し、靴のデザイナーや職人を養成する靴だけの専門学校もある。つまり、イタリアは世界一の靴大国なのである。そうしたイタリアン・シューズが今めざしているのは、いかにはき心地のよい靴を作るかということ。重厚な感覚のイギリスやアメリカの靴と比べると、やや華奢なイメージも感じられるが、軽くてソフトな作りというのはイタリアならではのものなのだ。今、日本でも大評判の TOD、S(トッズ)のモカシンなどはいてみれば、それは即、実感できる。